奥薬研温泉には、古くから伝わる「かっぱの湯」伝説があります。

「かっぱの湯」伝説

貞観(じょうがん)4年(西暦862年)、今から一千百余年の昔、円仁慈覚大師(えんにんじかくだいし)が恐山を開山した後、薬研係留を訪ねることになりました。大使が釜の沢を越え、大畑川をさかのぼって薬研に行く途中で夕暮れになってしまいました。大師は道に迷い、崖から足を踏みはずし、大怪我をしてしまいました。

大師は渾身の力をふりしぼって断崖からはい上がり、川原で体を休め困っていたところ、どこからともなく大きなフキの葉っぱをかぶった一匹の河童が現れました。河童は怪我で苦しんでいる大師を背負っていずこともなく運び去ってしまいました。

翌朝、大師が目を覚ましたところ、体ごと大きなフキの葉っぱに包まれ、露天風呂の中に入れられていました。

そして、不思議なことに、昨日の痛みはすっかり消え失せ、渓谷を渡る夜明けの風もさわやかに、もとの元気な姿に返っていました。

大師はこの奇怪な行為をことのほか喜び、河童の義心に感激して、その温泉を「かっぱの湯」と名づけたといいます。

それ以来、満々とたたえられたこの露天風呂の湯に満月が映ると、大きなフキの葉っぱをかぶった年老いた河童が、あし笛をならしながら踊る姿が見られたといいます。

出典「~~~著 古畑家由来記」より